調査概要昨今、コンビニ各社では、販売促進のためにさまざまなキャンペーンを展開しています。定番の施策として、アプリ等を通じた割引クーポンの配布や1buy1キャンペーン、人気キャラクターとのコラボキャンペーンなどが挙げられます。その中でもローソンでは「盛りすぎチャレンジ」という、商品の価格はそのままで具材や重量などを約50%増量するという、ユニークなキャンペーンを不定期で実施しています。本調査では、当社が保有するレシートデータを用いて、盛りすぎチャレンジにどの程度の販促効果があったのかを分析しました。盛りすぎチャレンジ概要ローソン 盛りすぎチャレンジ開催期間:2025年6月3日(火)から4週間にわたり順次発売 対象商品:計41品増量率:約50%増量引用元:<https://www.lawson.co.jp/company/news/detail/1506197_2504.html>※対象商品は全部で41種類ありますが、本記事では商品名に「盛りすぎ!」と記載されている28種類を集計対象としています。調査結果キャンペーンによる誘客効果はあったのか?まず、このキャンペーンによって、ローソンへの来店者数は増えたのでしょうか。ONEに投稿されたレシート1,000枚あたりのローソンレシート数を調べたところ、以下のようになっていました。レシート1,000枚あたりのローソンレシート数(期間平均)開催前4週間(5/6〜6/2)44.2枚開催中4週間(6/3〜6/30)49.3枚開催後4週間(7/1〜7/28)43.9枚このデータから、キャンペーン実施中は実施前後と比べて約112%のレシートが投稿されており、一定の誘客効果があったと考えられます。対象商品はどれくらい買われていたのか?では、期間中のローソンでの購買において、盛りすぎチャレンジの対象商品はどの程度含まれていたのでしょうか。上のグラフは、期間中に投稿されたローソンのレシートのうち、対象商品が含まれるレシートの割合の推移を表したものです。期間中平均で14.4%、つまり約7枚に1枚の確率で対象商品が購買されていました。対象商品が追加される月曜日や火曜日は特に出現率が高くなる傾向があり、6/10(火)・6/16(月)・6/23(月)は特に対象商品が含まれるレシートの比率が高くなっていました。また、ユーザー単位で見ると、キャンペーン開催中にローソンを利用した人のうち、28.4%は何らかの盛りすぎチャレンジ対象商品を購入していました。どの商品が特に売れていたのか?対象商品は数多くありますが、週ごとの目玉商品に購買が集中していました。その中でも、特に「盛りすぎ!プレミアムロール」や「盛りすぎ!ふわもち生シフォン」などのチルドスイーツ系の商品が人気を集めていました。次点で、おにぎり、惣菜パンと続きます。レシート単価に変化はあったか?次の表とグラフは、キャンペーン開催前・中・後のレシート1枚あたりの平均会計金額を示しています。さらに、キャンペーン開催期間中は、盛りすぎチャレンジの対象商品が含まれるレシートと含まれないレシートに分けて集計した結果をまとめています。全レシート対象商品が含まれるレシート対象商品が含まれないレシート開催前4週間(5/6〜6/2)¥685-¥685開催中4週間(6/3〜6/30)¥705¥832¥684開催後4週間(7/1〜7/28)¥708-¥708集計結果から、対象商品が含まれるレシートは、含まれないレシートよりも約150円程度(約122%)高くなっていました。全レシートにならしても開催前と比較して20円ほど高めることができており、キャンペーンの実施がレシート単価の向上に寄与していたことが分かります。なお、7/1にマチカフェ商品の価格改定(※1)が、7/15におにぎり商品の価格改定(※2)が実施されており、開催後4週間の全レシートでのレシート単価が向上しているのはそれらによる影響が大きいと考えられます。※1 ローソン、いれたてコーヒー10%値上げ Sサイズ160円に(日本経済新聞)(『https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC30AWY0Q5A630C2000000/』)※2 新ふんわり製法の手巻おにぎり誕生!(ローソン公式サイト)(『https://www.lawson.co.jp/lab/tsuushin/art/1507547_4659.html』)新規ユーザーは獲得できていたのか?以下のグラフは、購買日から遡って過去3ヶ月以内にローソンを利用していなかったユーザーがどれくらいいるのかを購買日ごとに集計したものです。※土曜日・日曜日は普段の生活圏から出ることが多いため、未利用ユーザー率は高くなる傾向があります。期間ごとに平均値を求めた結果が下記となります。未利用ユーザー率(期間平均)開催前4週間(5/6〜6/2)3.2%開催中4週間(6/3〜6/30)3.1%開催後4週間(7/1〜7/28)3.1%この結果から、盛りすぎチャレンジをきっかけに初めてローソンを利用した(もしくは休眠復活した)というユーザーは多くなく、既存のローソンユーザーの利用頻度が増加したと考えられます。一方で、開催期間の終盤になるにつれて、未利用ユーザーの比率は低下しているため、キャンペーン期間中にリピート利用が促進されていたことがうかがえます。また、次の表は、期間ごとの一人当たりのレシート数を比較したものです。一人当たりレシート数(期間平均)開催前4週間(5/6〜6/2)3.58開催中4週間(6/3〜6/30)3.82開催後4週間(7/1〜7/28)3.69一人当たりのレシート数は開催前の約107%になっており、リピート購買が促進されていたことが分かります。競合のコンビニからシェアを奪えていたのか?次に、盛りすぎチャレンジに参加していた人は、キャンペーン期間中、競合コンビニの利用頻度が下がっていたのかを見ていきましょう。次の3つのグラフは、キャンペーン期間中に盛りすぎチャレンジの対象商品を購買した人と、対象商品は購買しなかったもののローソンのレシートを投稿した人に分けて、ONEに投稿されたレシート1,000枚あたりの各コンビニのレシート数を集計したものです。この結果を見ると、対象商品購買者はセブン-イレブンのレシート数がわずかに減少しているものの、大きな変化ではなく、またファミリーマートのレシート数はほとんど変わらない一方で、ローソンのレシート数は大きく増えています。また、開催中か否かに関わらず、対象商品購買者とその他ローソン利用者でセブン-イレブンとファミリーマートのレシート数は大きく変わらないのに対し、ローソンのレシート数は対象商品購買者が大きく上回っており、ここからも既存のローソンユーザーが積極的にキャンペーンに参加していたということが分かります。どういうユーザーが盛りすぎチャレンジに参加していたのか?以下のグラフは、キャンペーン開催中にローソンを利用したユーザーのうち、盛りすぎ!チャレンジ対象商品を購入したユーザーの割合を、性年代・居住地別に集計したものです。※全体平均の28.4%を超える属性は赤く着色したこれを見ると、購入率が高いのは男性、30代〜50代、東北/四国のユーザーであり、購入率が低いのは女性、60代以上、関東のユーザーであることが分かります。まとめ今回の分析によって、以下のような結果が得られました。盛りすぎチャレンジによる誘客効果は高く、レシート投稿数は112%、一人当たりの利用回数は107%となっていた特に売れているカテゴリは、チルドスイーツで、おにぎり・惣菜パンがそれに続く盛りすぎチャレンジの対象商品を購買している場合、レシート単価はそれ以外のレシートの122%となっていた新規や休眠ユーザーの掘り起こしがなされたというよりは、既存ユーザーの利用頻度が高まった競合からシェアを奪取しているわけではなく、単純にローソンの利用が増加していた特に男性、30代〜50代、東北/四国のユーザーが積極的にキャンペーンに参加していたいかがだったでしょうか。ONEが収集しているレシートデータでは、各チェーンのレシート枚数やその中の商品数の推移以外にも、多くの角度で分析することができます。今回の分析のように、ユーザーが新規ユーザーなのかリピーターを区別して分析できるほか、他のチェーンとの買い周り状況や、他業態での購買傾向の違いなど、チェーンを跨いだ分析や、今回実施した分析をデモグラフィックごとに切り分けて行うことも可能です。何か気になる分析テーマがあれば、是非お問合せフォームよりお問い合わせください。