クラフトビール市場は堅実な成長を歩んでいます。Googleトレンドの検索ボリュームを見ても明らかで「クラフトビール」はもちろんのこと、カテゴリーの中でも代表的なキリンビール・スプリングバレーや、ヤッホーブルーイングのよなよなエールなど「クラフトビールといえば◯◯だ」と言った、市場の拡大とともに想起されるブランドも順調に成長している印象を感じます。一方で、ビール市場全体に占めるクラフトビールの構成比は2%弱と、まだまだ市場規模は少ない状況となっています。どう言ったユーザーに好まれ、何がきっかけで買われ、ファンが定着するのでしょうか。本記事では、レシート買取アプリを運営するONEが、10億枚以上のレシート購買データを元にクラフトビール市場を紐解きます。2024年までのクラフトビール市場規模と成長2024年現在、Googleトレンドで「クラフトビール」の検索指数は10年前と比較して10倍程度に成長しています。クラフトビール含めた関連ブランドが、その市場を牽引した結果といえます。キリンビール調べでは、クラフトビール市場は2021年でビール市場の1.5%構成比を持っています。クラフトビールは伝統的な製法や原材料へのこだわりで評価されることが多く、メーカーも複数の楽しみ方を提供しています。「ビールといえば家で飲む・居酒屋で楽しむ」と言った一般的なパーセプションではなく、新しい認知・イメージを取りにいこうとしていることが分かります。価格帯がプレミアムビールと同等であることから、日常シーンで楽しんでもらうことはもちろんのこと、イベントごとや特定のシーンでこだわって楽しんでもらうことを意識したブランドコミュニケーションと言えそうです。キリンビールがクラフトビールで市場の将来性を期待する?2024年2月の日経記事によれば、キリンビールがクラフトビール市場に推進すると言った情報が出てきています。2023年行ったクラフトビールイベントでは、20代の参加者が最多だったこともあり、通常ビールと異なる味わいや風味に特徴あるクラフトビールに若年層・Z世代から支持が集まっているようです。購買データから紐解く、クラフトビール購買層の特徴30代男女・40代男性からの購買比率が高い。60代は消極的か弊社では、2023/11-2024/1の3ヶ月、33,050人のビールカテゴリー非購入者を含めた「各ビールカテゴリー購入率」を調査しました。上図は購入者全体に対して、各年代・性別で購入カテゴリーに偏りがあるか調べたものです。クラフトビールは30代女性・30,40代男性から支持されている傾向があります。男女ともに50代以降になると、新ジャンル・発泡酒の購入比率が高くなる傾向が分かります。子供がいない家庭で支持されやすい。子供がいると新ジャンル・発泡酒の傾向が強い未婚・既婚であっても、子供がいるかどうかがクラフトビール購入に左右する傾向が強いことがわかっています。特に未婚・子供なしからの支持が強く、一人暮らし・身軽さといったペルソナが見えてきます。年収600万円以上から購買傾向が強い。ビールと同様のトレンドライン年収別でクラフトビールの購買比率を出してみると、年収600万円以上から支持が強くなりだしていることが分かります。また、900万円以上でも高い購買比率を記録していて、一定の収入があるユーザーから支持が高いことが分かります。逆に年収400万円を切ってしまうと購買比率は極端に下がっています。ビールも同様の傾向が見えますが、クラフトビールはより顕著に出ています。クラフトビール主飲ユーザーが同時に好むのはプレミアムビール?ビール愛飲者から強い支持か。クラフトビールの期間併売分析クラフトビールのみを購入しているユーザーはおらず、ビール・新ジャンル・発泡酒など、特定のカテゴリーと合わせて買っていました。特にビールを購入するユーザーからクラフトビールが選ばれる傾向にあります。クラフトビール愛飲ユーザーが好きなビールはプレミアムモルツ?主飲をクラフトビールとするユーザーが好んで飲むビールカテゴリー2位は、プレミアムモルツでした。これは主飲ビールユーザーに1位で支持されているスーパードライを抜いている結果です。上記から、クラフトビールユーザーは味・おいしさ・風味などの上質さをビールに求めており、同様の体験ができるプレミアムビールを常に比較し、気分やシーンに応じて選択を変えている可能性が高そうといえます。クラフトビールは600万以上・子供なし・30,40代男女に好まれるブランドなのか収入に一定の余裕が生まれ、フットワークが軽い年代の男女に選ばれる傾向が強いことや、クラフトビールを主飲とするユーザーが好むブランドにプレミアムビールが上位に食い込んでいることが分かりました。また、ビールを主飲するユーザーはクラフトビールに興味を示す傾向が強く、ビール好きユーザーから選ばれるパーセプションをどう作っていくのか?が今後の市場創造につながるといえそうです。合わせて読みたい|ブランドパーセプションの重要性クラフトビール市場に必要なパーセプションは日常のプレミアム感?出所:「日比谷ビアガーデンフェス」開催のお知らせクラフトビール市場の構成比を上げる・クラフトビールブランドの売上を成長させるためには、どう言ったシーンでクラフトビールを飲んでいただくことが最適か、パーセプションを作り出すことが重要です。クラフトビール含むビール市場は例年7~9月に消費が一番活性化する時期で、例えば例年8月に開催される日比谷ガーデンフェスでは、さまざまな世界の食文化・音楽文化とともにクラフトビールも多数登場します。野外フェスで飲むならクラフトビールサウナ終わりの一杯ならクラフトビール野球観戦・サッカー観戦のお供にクラフトビールと言ったパーセプションは、ビール市場に新しいパーセプションを生み出すきっかけ作りとしては重要な一方で、「野外の特別なシーンで飲むビール」と言った認識は日常の消費に溶け込みにくく、市場浸透率にインパクトを与えにくい可能性もあります。味わい・風味・おいしさなど、通常のビールとは異なる優位点を持つクラフトビールだからこそ、日常のどう言ったシーンで溶け込ませることができるか、新しいパーセプションを作り出すヒントと捉えていただけると幸いです。ONEでパーセプションの可視化と、選択確率の向上を目指しませんか?ONEでは、月間2,000〜4,000万枚のレシートを買取してユーザー個別に購買をトラッキングしています。ユーザー別の消費特性や、消費者調査からブランドパーセプションを特定して、選択確率の向上に寄与できます。クラフトビール市場では、メーカー・ブランドが作る新たなパーセプションを消費者は認知しているのか?すでに購入し続けている消費者は、どう言ったパーセプションのもと買い続けてくれているのか?など、メーカーと消費者を繋ぐ架け橋を作れます。ユーザーの消費特性や調査から、ブランドパーセプションを特定できるパーセプション内の競合を特定し、自社の強み・弱みを明らかにできる購買周期において、ブランドの選択確率を上げる手助けができるぜひご興味ございましたら、お気軽に資料請求いただければと思います。