ロイヤル顧客の育成 VS 新規顧客の獲得は、マーケターにとって悩みのタネの一つでしょう。2023年〜2024年冒頭は、ロイヤルティプログラムの導入・ヘビーユーザーの顧客理解が新規獲得につながる・コミュニティ施策の導入といった、ロイヤル顧客向けの体験設計がメディアやSNSで旋風を巻き起こしています。「リピーター・新規、どちらを優先すべきか…?」「カテゴリやベンチマークする競合は、自社ブランドとどのくらいリピート率・新規獲得に差があるのか…?」「どのタイミングでリピーター(または新規)向け施策に比重をおくべきか…?」本記事では複数のカテゴリにまたがって、ロイヤル顧客の育成と新規顧客の獲得の関係性について、ダブルジョパディの法則を軸に迫ります。リピーター VS 新規顧客。ダブルジョパディの法則とは?上記は特定期間の消費財カテゴリにおける購入者数とリピート率のグラフです。購入者数が多ければリピート率が高くなるのに対し、購入数が少ない商品は、リピート率も高まってないことがわかります。「ダブルジョパディの法則」はマーケティングにおける経験則で、市場浸透率の低いブランドは、購入頻度も低くなるという傾向を示します。これは市場シェアの低いブランドは顧客数が少なく、さらに顧客がそのブランドを頻繁に購入しないため、二重の苦境に立たされるというイメージから名付けられました。ダブルジョパディの法則、3つの原則市場浸透率(特定期間内に商品を購入した人の割合)と購入頻度(一人当たり商品を購入した回数)は、正の相関関係市場浸透率が低いブランドは、購入頻度も低いこの法則は、日用品、車、小売店、テレビ番組など、様々な分野で当てはまることが実証済みこの法則は日用品や飲料・食品だけにみられるものではなく、さまざまなカテゴリで当てはまることがわかっています。この法則を活用して、自社のマーケティングや販売戦略にどう活かしていくべきかお伝えします。カテゴリごとにみたダブルジョパディの法則性を理解するビール・カレールー・一般菓子・コンビニチョコ菓子の4カテゴリにて、ダブルジョパディの法則性があるのか、実際の購買データを元に出してみました。データの歪みが極力出ないよう、男女5:5かつ各年代均一なデータを形成しグラフに落とし込んでいます。ビールカテゴリのような、単価が低く購入頻度が高いものは、購入数の増加に対してロイヤルティの急激な上昇はみられませんでした。スイッチングコストの低い業界やカテゴリにおいては、同様の関係性が見えそうです。一方でカレールーカテゴリは購入単価は低いもの、購入頻度が飲料系・ビール系に比べると低いため購入数とロイヤルティに傾斜がかかっています。カレールーのような低単価・低〜中頻度カテゴリは、購入数をいかに高められるか=ロイヤルティ向上につながる可能性が高く、ダブルジョパディの法則性を強く意識したブランドマネジメントを行う必要性がある、と言えます。左図の菓子カテゴリでは、じゃがりこが飛び抜けた数値を出しています。多くのフレーバーをだし、全年代から支持されるお菓子だけあって「じゃがりこブランド」をまとめてみると購入者数・ロイヤルティが凄まじいことがわかります。右図では、特定のチェーンに区切ったダブルジョパディの法則性があるか出しています。コンビニチェーン(セブンイレブン・ローソン・ファミリーマート)におけるチョコ菓子で強さを誇っていたのはガルボとクランキーシリーズでした。クランキーシリーズもガルボシリーズも多くのフレーバーを出しているため、メーカーは「浸透率がある程度高まったら別のフレーバーを出してシリーズで売上を引き上げていこう」といった策略を検討していることがわかります。購入頻度・単価から、自社カテゴリがどういった特性に位置しているか理解する購入頻度に関わらず、単価の低いものはスイッチングコストも低い傾向が強いです。まずはシンプルにダブルジョパディの法則に従って、ベンチマークしている競合商品を並べて、購買数とリピート率がどのポジションにあるのか自社商品を客観的に理解しましょう。前見出しで紹介した事例を再掲します。例えばビールのような低単価・高頻度カテゴリはスイッチングコストが低く、すぐ他のブランドに顧客が流れやすい傾向があります。「ビール(カテゴリ)は好きだけど、特定のブランドにこだわって飲んでいない」といったユーザーが多いカテゴリと言えます。スイッチングコストが低いカテゴリで他ブランドと比較して勝つためには大きく2つ考えられます。購入検討時に強烈なインセンティブがある(セール・クーポンなど)日常の認知段階で強烈な印象を与える またはフリークエンシーをあげて想起率を高める一定の浸透率までロイヤルティは考えない。ただし定着理由を明確に、ロイヤル顧客を明文化しよう参照 : ロイヤルティープログラム新潮流 顧客のLTV高める「2つの視点」https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00912/00001/ファンコミュニティ・ロイヤルティプログラム・アンバサダーマーケティングといった、リピート率を上げる取り組みを強化している企業も2023年度から多く増えた印象です。ターゲットが明確であれば、マーケットシェアのうちどの程度浸透率が高まったのか予測することはできます。ダブルジョパディの法則では「浸透率が高まった結果、ロイヤルティが上がる」法則の順序は変わりません。まずは浸透率の目標を設定して間口を広げ、ゆくゆくロイヤルティを意識した戦略を描きましょう。ダブルジョパディの法則を活用して、購買データをマーケティングに活かそう上手では「牧場の朝」が浸透率低いにも関わらずロイヤルティがとても高いことがわかります。(ポジティブな外れ値)このようにレシート買取アプリONEでは、ダブルジョパディの法則を活用して、複数のカテゴリ・ブランドにまたがった横断的な商品分析ができます。浸透率とリピート率から、自社ブランドが外れ値にいないか確認し、次の有効的な施策検討のサポートとして活用いただけます。※外れ値の確認とは:競合やカテゴリ全体と比較して、「リピート率はあるのに浸透率が低い」「新規顧客は獲得できているかリピート率に課題がある」など、自社ブランドの弱点を見える化すること誰がどこでどう買っているのか。競合と比較し、リピート率はどう違うか。買い続けてくれる人は、何に価値を感じてくれているのか。ロイヤルティの高い顧客が、自社・競合商品それぞれどういった意識で購入しているのかも分析できます。ご興味ございましたら、ぜひお気軽に資料請求いただければと思います。