2025年10月7日に発売されたキリン「グッドエール」。激戦のビール市場で、どのような層に支持され、どのようなポジションを築きつつあるのでしょうか。ONEに投稿されたレシートデータから、発売後1ヶ月間の購買実態を探りました。調査概要本調査では、ONEに投稿されたレシートデータを用いて、グッドエールの購買動向を分析しました。比較対象として、同じキリンビール社のビールである「一番搾り」「晴れ風」も分析し、グッドエールの特徴を明らかにしました。分析期間:2025年10月7日〜11月6日(グッドエール発売後1ヶ月間)分析対象:グッドエール、一番搾り、晴れ風データソース:ONEレシートデータ調査結果購買量推移——どのくらい購買されたいたのかまず、発売から1ヶ月でどれくらい購買されていたのかを見て見ましょう。以下のグラフは、ONEに投稿されたレシート1,000枚あたりの各ブランドが出現したレシートの数(PI値)の推移を示しています。グッドエール発売直後は晴れ風と同程度で推移していたものの、10月下旬からは徐々に晴れ風を上回るようになってきています。また、11月1日には1.57という比較的高いPI値で一番搾りにも近づいてきており、今後の動向が注目されます。また、一番搾りやグッドエールは休日よりも平日の方が高いPI値を示す日が多いのに対し、晴れ風は相対的になだらかで、比較的休日にも購買されやすいという差異が見られ、グッドエールの飲用シーンは一番搾りに近いと考えることもできそうです。間口・奥行——どれくらい広く・深く買われていたのか次に、間口(購買率)と奥行(購買者一人当たりの購買金額)を確認しましょう。購買率一人あたり購買金額グッドエール12.4%¥522一番搾り23.2%¥1,006晴れ風9.0%¥660トップブランドである一番搾りが購買率・一人あたりの購買金額どちらも頭ひとつ抜けており、ブランドとしての強さが垣間見えました。一方で、晴れ風とグッドエールを比較すると、グッドエールは購買率は晴れ風を上回っており、相対的に多くの人に購入されている一方で、一人あたりの購買金額は晴れ風を下回っていることから、まだ試し買いの段階で、リピートや複数缶購買は限定的であることが読み取れます。今後、トライアルしたユーザーが定着していくかは注目すべきポイントでしょう。購買者の属性——性別・年代から見える特徴今度は購買者の属性を詳しく見ていきましょう。次の3つのグラフは、各ブランドの購買者の属性比率と、同期間にビールを購買したユーザー全体の属性比率の差分を表したものです。まず性別構成からです。グッドエールはビール購買者全体の女性比率と比べて約2ポイント高く、女性層への訴求力がうかがえます。従来、男性中心とされてきたビール市場で、グッドエールはより女性層の支持を得ています。年代別では、グッドエールは50代により支持されている一方で、60代以上の比率が相対的低く、その点で一番搾りとの差異が見受けられます。地域別では、グッドエールと晴れ風が近しく、相対的に関東の比率が高く、近畿の比率が小さくなっています。一方で、中部や九州・沖縄では異なる傾向も示しています。これらの傾向は、配荷状況やプロモーション展開の違いを反映している可能性が考えられます。ブランド購買者のビール購買量——ビール好きに選ばれているのか各ブランド購買者の、ビール全体の購買金額も比較してみましょう。次のグラフは、各ブランド購買者の投稿レシート100枚あたりのビール購買金額を表したものになります。一番搾りの購買者が頭ひとつ抜けて、高いのに対し、グッドエールと晴れ風は同程度の金額となっていました。ここから、ビールヘビーなユーザーというよりも、ライトなユーザーに多く試し買いをされていることが考えられます。購買チャネル——どの業態で購入されているのか最後に、各ブランドがコンビニ・スーパーマーケット・ドラッグストアのどこで購入されているのかを見ていきましょう。次のグラフはレシート単位での業態構成比を表したものです。いずれのブランドもスーパーマーケットの比率が最も高いものの、一番搾りはスーパーマーケットの比率が60%を超えているのに対し、グッドエール・晴れ風は50%前後で、その分コンビニの比率が相対的に大きくなっています。ここに、各ブランドの配荷戦略が反映されているとともに、前述の「購買者一人当たりの購買金額」にも影響を与えていることが考えられます。まとめキリン「グッドエール」の発売後1ヶ月の初動調査から、新商品としての順調な立ち上がりと今後の課題が明らかになりました。購買数の順調な拡大グッドエールは発売直後は晴れ風と同程度のPI値で推移していましたが、10月下旬から徐々に晴れ風を上回るようになり、11月1日には1.57という比較的高いPI値を記録し、一番搾りにも近づく勢いを見せています。購買率も12.4%と晴れ風の9.0%を上回り、より多くの消費者にリーチできていることがわかります。この購買量の伸長は、新商品として順調な市場浸透を示しています。リピート・複数購買に課題一方で、購買者一人あたりの購買金額は522円と、晴れ風(660円)や一番搾り(1,006円)を下回っており、現時点では試し買いの段階にとどまっています。購買率では晴れ風を上回るものの、奥行(購買深度)では劣後しており、トライアルした消費者をいかにリピーターとして定着させ、複数缶購買につなげるかが今後の重要な課題となっています。ターゲット層とチャネル戦略の特徴グッドエールと晴れ風は、ビールライトユーザー(購買者のビール購買金額が約550-560円)をターゲットとし、コンビニ比率が約40%と高く、関東での支持が強いという共通点があります。一方で、グッドエールは女性比率がビール購買者全体より約2ポイント高く、50代により支持される傾向があり、平日需要が強いという独自の特徴を持っています。晴れ風は比較的休日にも購買されやすく、40代の比率が相対的に高いという違いが見られます。これらの差異は、同じライトユーザー向けでありながら、異なる飲用シーンや顧客層を開拓している可能性を示唆しています。レシートデータは、商品の購買実態を客観的に捉える貴重な情報源です。新商品の市場定着度や、ターゲット層への訴求状況など、マーケティング戦略の検証にご活用ください。今回のような分析にご興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。