家庭紙業界のパイオニアとして、紙商品の価値を最大化する——貴社の事業内容について教えてください。日本製紙クレシア株式会社は1963年に設立した、ティシューペーパーやトイレットロールなどの製造販売を行っている企業です。事業分野として家庭用品・ヘルスケア用品・業務用品の3事業を展開しています。——お二人の役割や業務内容はなんですか?所属するマーケティング総合企画本部では、家庭用品ブランドの商品開発からプロモーション全般を担当しています。中でも私たちのメインミッションは、2023年4月に発売したウェットティシューブランド「パルプウェット(PULP WET )100」の認知から売上拡大に向けた施策立案と実行です。パルプウェット(PULP WET )100は、昨今ウェットティシュー市場が450億円規模まで伸びていることや、他社製品との差別化・優位性を獲得できる可能性を感じ、開発がスタートしました。元来、日本製紙グループが 大切にしている「紙でできることは紙で」をコンセプトに、紙(パルプ)素材ならではの魅力でウェットティシューの新しい価値を、より多くのお客様へ届けたい・伝えたいと考えています。——パルプウェット(PULP WET)100の紙素材へのこだわりを教えてください。既存のウェットティシュー商品の多くは、汚れが十分に拭き取れない・乾きやすい・シートサイズが小さく拭き取りが不十分な場合がある、などといった機能的問題も少なくありません。日本製紙クレシアでは、そういった問題を解決すべくパルプウェット(PULP WET) 100を開発しました。パルプウェット(PULP WET)100は「レーヨン素材では作れない、紙ならではの凹凸ある拭き取り力抜群のシート」「保水性があるため、広い範囲の汚れを十分に拭き取れる機能性」に加え、「紙100%で環境に十分配慮した素材であること」が特長の商品です。紙素材にも関わらず、従来のウェットシートと同様99.99% *1の除菌効果がある点も強みとして挙げられます。※1.すべての菌を除去するわけではありません。 ——発売後のマーケティング活動を通じて、どういった課題がありましたか?商品の機能性に自信はありながらも、多くの消費者に紙素材の良さが伝わっていないことが課題でした。発売前、卸売業者や小売様には商品の機能性を丁寧に説明した甲斐あって、魅力を理解していただけました。また、一部の消費者からの評価も好評で、「大判で使いやすい」「保水性があって長持ちする」「紙100%素材が環境に配慮していて安心」などの声を頂くことができたのです。しっかりと商品特性や機能的価値を訴求できる場さえあれば、たくさんの方に魅力的に思っていただけると感じる一方で、限られた施策の中から解決する最適な手段がなかなか見つけられず、消費者の声を収集するのに苦労していました。ONEでトライアル環境作りから顧客理解まで、効率的に実行——ONEをお選びいただいた理由はなんですか?新商品で配荷店舗が限られていたので、特定のエリアや店舗を対象にして効率良く施策を実施できる点が魅力的でした。さらに、消費者に商品の魅力が伝わっているか、日頃商品がどう使われているかなど、購入後にアンケートを実施できる点もONEを選んだ理由の一つです。特に、レシート買取を通じて実際に購入された方のみにアンケートを実施できる点や、買取後の1〜2週間後に使用後調査を実施できる点、質問や選択肢で自由に質問をカスタマイズできる点も良かったです。——ONEマストバイキャンペーンの成果を教えてください。商品視点・販売視点・消費者視点の3つで成果を実感できました。まず商品視点の成果では、パルプウェット(PULP WET )100に対する認知度や、消費者からみた商品イメージなどが明らかになったことです。購入後の活用アンケートによって得られた調査から、多数の機能性をご評価いただくご意見の他に、パッケージに表記されている除菌99.99% *1があまり伝わっていなかったことや、この商品がウェットティシューであることが分かりづらいことなどが分かりました。販売視点では、ONEを通じて97%以上の新規ユーザーにトライアルしていただけました。「日本製紙クレシアがこのような商品を発売していたことは知らなかった」「ONEで初めて知った」など、これまで商品のことを知らなかったお客様に購入いただけたのは嬉しい成果でした。さらに、ONEを通じて売っている場所を消費者に丁寧にお伝えできたことも、新規購入ユーザーを増やせるきっかけとなりました。最後は消費者視点です。ONEを通じて商品の特長を紹介できたので、環境に配慮した紙100%素材であることや紙素材ならではの凹凸で汚れを拭き取りやすいことなど、機能面をしっかり伝えることができました。ONE活用後の 社内満足度も非常に高く、社内のメンバーが改めて商品に自信を持てたこともメリットに感じられました。 結果を元に、パッケージを改良。ONEの有効的な活用方法とは——今回の施策で得られた成果を、その後どのように活かしましたか?ONEでのキャンペーン実施後に、すぐにパッケージの改善を行いました。除菌99.99% *1が分かりづらい点や、紙ならではの凹凸で汚れがしっかり拭き取れる点を押し出し、2024年4月よりデザインリニューアルを行っています。得られた調査結果をすぐ改善に活かせたのも、スピード感を持ってフィードバック対応いただけたおかげです。今回のリニューアルをきっかけに、さらなる商品認知の拡大と店舗販売数の向上に活かそうと思っています。パルプウェット(PULP WET)100ならではの紙素材のもつ強みや良さを、より多くの人に届けたいと考えています。また、購入後アンケートの結果として「レーヨンに比べて紙素材は肌触りがよく、乾燥する手肌に合っている」「紙でできたシートは繊維質が残らないため嬉しい」などといった、私たちが気づいていなかったユニークポイントも見つかりました。こういったご意見は、今後の商品開発や訴求に活かしたいと考えています。——ONEはどういった企業様にご活用いただけそうですか?商品力に強みを持ちつつ、新商品を開発して新たな市場や顧客層と向き合われている企業様との相性が良いと感じました。トライアルの環境作りはもちろん、お試しいただいた消費者の声を聞きたいと望まれる方にも向いていると思います。テレビやSNSなどでは絞り込めない、ピンポイントの施策を実施したい企業様にもおすすめです。全国販売はしていないが、特定エリアやチェーンでキャンペーンを実施したいと考えている担当者様にもピッタリだと思います。——今後、貴社として目指す姿があれば教えてください。私たち日本製紙クレシアは、お客様の衛生環境を守るとともに、社会にサステナブルな価値提供をし続けたいと考えています。その一例として、2021年4月には地球環境を考慮して、トイレットロールを長持ちロールにシフトしました。長持ちロールは、取り替え回数が減るためゴミの量の削減が期待でき、収納もコンパクトになります。商品サイズがコンパクトなので輸送効率が上がり、CO2の排出量も削減し環境への負荷も減らせる消費者・流通・メーカーの「三方良し」に、地球へのやさしさをプラスした「四方良し」の商品です。これからも、紙素材ならではの商品開発や価値創造を提供していきたいです。また、消費者の声を真摯に受け止め、健康で衛生的な生活に貢献できるブランド作りをしていきたいと考えています。